<更新>朝鮮学校の高校無償化除外に抗議しよう!

2010年2月21日付の「共同通信」配信記事で、中井洽拉致問題担当大臣の要請を受け、川端達夫文部科学省大臣など政務三役が、4月から実施予定の高校無償化から朝鮮学校生徒を対象からはずす検討に入ったと報道された。2月25日から審議が始まっている。

その後、各紙でこの件に関する続報および社説が掲載された。以下、記事一覧。

・2月21日付「高校無償化、朝鮮学校除外を要請 中井拉致問題担当相」(47NEWS(/共同通信))
 http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010022001000624.html

・2月23日付「朝鮮学校、無償化対象外に…国家公安委員長」(読売新聞) 
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100223-OYT1T01060.htm

・2月23日付「【主張】朝鮮学校 無償化除外へ知恵を絞れ」(産経新聞
 http://sankei.jp.msn.com/life/education/100223/edc1002230302000-n1.htm

・2月23日付「高校無償化、外交は考慮せず=朝鮮学校の扱いで−川端文科相」(時事ドットコム
 http://www.jiji.com/jc/zc?key=%C4%AB%C1%AF%B3%D8%B9%BB&k=201002/2010022300303

・2月24日付「(社説)高校無償化―朝鮮学校除外はおかしい」(朝日新聞
 http://www.asahi.com/paper/editorial20100224.html

・2月25日付「首相、朝鮮学校の対象外を容認 高校授業料無償化で」(京都新聞
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100225000167&genre=W1&area=Z10


(※追加)
・2月26日付「(社説)高校無償化 「排除」は理念にそぐわぬ」(西日本新聞
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/154900#

・2月26日付「朝鮮学校の無償化「結論出てない」首相が修正」(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100226-OYT1T00480.htm

・2月26日付「「高校無償化」の差別なき適用を 日本の教育関係者が取り組み決議 」(朝鮮新報)
 http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/02/1002j0226-00002.htm

・2月26日付「「高校無償化除外は不当な民族差別」 衆議院議員会館で記者会見 」(朝鮮新報)
 http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/02/1002j0226-00001.htm

・2月27日付「【主張】高校無償化 朝鮮学校の説明は不十分」(産経新聞
 http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100227/kor1002270252002-n1.htm#

・2月27日付「[高校無償化]朝鮮学校除外は筋違い」(沖縄タイムズ)
 http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-02-27_4002/#

・2月27日付「【特報】無償化除外?素顔の朝鮮学校」(東京新聞
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2010022702000056.html
 (→こちらのブログで、文字起こしされています!「vanacoralの日記」:http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20100228

・3月1日付「高校無償化除外は国連諸条約に違反 日本の各市民団体も強く抗議」(朝鮮新報)
 http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/02/1002j0301-00001.htm

・3月1日付「ジュネーブで対日審査会合 朝鮮学校「高校無償化」除外に懸念」(朝鮮新報)
 http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/02/1002j0301-00002.htm

・3月2日付「首相、朝鮮学校生徒との面会に意欲 高校無償化で」(産経新聞
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100302/plc1003021020006-n1.htm

・3月2日付「鶴見さんら、朝鮮学校も無償化を 首相と文科相に要望書」(47NEWS(/共同通信))
 http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030201000932.html

・3月2日付「高校無償化へ朝鮮学校の生徒が署名活動」(日刊スポーツ(/共同通信))
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100302-601890.html


今回の問題と「産経」および「朝日」の社説に関する批判に関しては、「日朝国交「正常化」と植民地支配責任」というブログが大変参考になる。

「産経」は、いつものごとく対「北朝鮮」悪イメージを煽っており、いかに「知恵を絞って」朝鮮学校を除外するかと言い切っているわけだが、それに対して「朝日」は、「朝鮮学校も変わった」のだから除外はおかしいという対抗軸を置いた。しかし、「朝日」も朝鮮学校の歴史的経緯を無視して、朝鮮学校にあたかも自己責任があるかのような論調である。以下のブログでも指摘されているように、これは日本社会に受容するかされないかという強迫と言っても過言ではない。

しかし、いわゆる「良心的日本人」の多くが、この「朝日」的な論説に賛同するのではないだろうか。「支援」対象である朝鮮学校に、黙らせていないか、ちゃんと向き合う必要がある。そういう意味でも、必読文章だ。

kscykscyさんのブログ「日朝国交「正常化」と植民地支配責任」

・2月17日付「『産経新聞』は何を「明らかに」したのか――朝鮮学校と高校「無償化」問題 」
 http://kscykscy.exblog.jp/12857819/

・2月23日付「「公的確認」の論理と教育「内容」の問題――朝鮮学校と高校「無償化」問題2」
 http://kscykscy.exblog.jp/12886916/

・2月24日付「案の定の『朝日新聞』社説――朝鮮学校と高校「無償化」問題3」
 http://kscykscy.exblog.jp/12894670/


(※追加)
・2月27日付「鳩山「国交」発言にみる狎れあいの構図――朝鮮学校と高校「無償化」問題4」
 http://kscykscy.exblog.jp/12907787/

・3月1日付「再び『産経新聞』を批判する――朝鮮学校と高校「無償化」問題5」
 http://kscykscy.exblog.jp/12920547/


また、このような報道を受けて、各地域の市民団体や個人が、政府に対する抗議行動を起している。京都でも「朝鮮学校を支える会京・滋」が、緊急で申し入れを行った。

2月22日付「朝鮮学校の無償化除外、撤回を 京滋の支援団体、政府に申し入れ」(京都新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100222-00000040-kyt-l26

東京の朝鮮学校関係者が、記者会見を行ったとの記事が、「月刊イオ」のブログで紹介されている。

・2月25日月刊イオブログ「差別なき無償化を! 保護者たちが記者会見」
 http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/226560530edbe9a2ec0f6dc5cb3091c1


私は、最初の一報を受けたとき、日本は在日朝鮮人を人質に取る気だと思った。かつての安倍政権期の「対北朝鮮政策」と全く同じ論理構成だったからだ。忘れもしない。2007年当時に、公安調査庁長官・漆間巌(当時)が、

北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)が困る事件の摘発が拉致問題を解決に近づける」
北朝鮮に日本と交渉する気にさせるのが警察の仕事」
「そのためには、資金源について『ここまでやられるのか』と相手が思うほど事件化するのが有効だ」

と発言し、実際に、その年、次々に朝鮮総連関連機関を激しく弾圧した。滋賀朝鮮初級学校も攻撃対象となり、子どもたちに深い傷が残った。

今回、問題の中井洽拉致問題担当大臣は、新内閣において国家公安委員長拉致問題担当大臣を兼任している。拉致議連副会長・民主党拉致問題対策本部長という経歴を持ち、「対北朝鮮政策の最強硬派」ということだそうだ。以下のブログが、この点について詳しい。

debuggerさんのブログ「media debugger」
2009年9月24日付「中井洽とは誰か――新政権人事に見る朝鮮人への弾圧強化政策」
http://mdebugger.blog88.fc2.com/blog-entry-18.html

上記のブログでも指摘しているように、こうした新政権の人事に対する正確な分析が甘かったと思う。私は、民主党にはなから期待していなかったが、正直これまでのような「革命的警戒心」は薄れていた…。政権交代を楽観視するのではなく、そこに引継がれている影響力の大きさや連続性を、しっかり見極めるべきだった。

このような「強硬派」路線が、まだまだ根深くある。最近、拉致被害者家族の蓮池透さんが、家族会の活動を総括するようになり、制裁ではなく対話を求める発言をしている。彼は、日本政府や支援団体である「救う会」の目的が、善意の裏にまず「北朝鮮打倒」というところにあり、本気で被害者のことを考えているように思えないと不信感を露にしてる*1。日本政府は、「北朝鮮打倒」という強い目的のために、拉致被害者と家族を利用しているに過ぎない。今回もそのように捉えてよいだろう。


さて、そもそも「高校無償化法案」の趣旨とは、国際人権規約Aに定められている理念を具体化したものであり、その内容は誰もが後期中等教育を保障しようというものであるようだ。

「種々の形態の中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること」(国際人権規約A規約第13条の2(b))

外交関係が云々、教育内容が云々で除外するようであれば、当初のこのような趣旨からも相反することになる。先述したような外交戦略を介入させる意図は、文科省も否定しているようだが、ただ、外国人学校の中でもとりわけ朝鮮学校に限定するのであれば、これはもう差別の何者でもない。

朝鮮学校は「各種学校」として認可されているが、「一条校」と同等の教育課程を有しており、過去の運動で、JRの通学定期問題や大学受験資格問題でも権利を勝ち取ってきた。インターハイなどにも出場するようにもなってきた。教育内容が確認しにくいと言われているが、「各種学校」として定められている以上、各自治体に報告はしなければならない。さらに、地域の日本の公立学校との交流や、公開授業や行事を開催して地域の人との交流を図ってもいる。

日本の植民地支配責任・戦後補償の一環として、民族教育の権利を保障しなければならないというのがことの本質であるにもかかわらず、朝鮮学校にここまでの努力をさせてこれ以上何を求めるのか?


このブログ記事を書くために、情報をまとめていると、先に記した2月25日付の最新記事で、鳩山首相朝鮮学校除外を容認していることが分った。消極的にだが、対象に含めるとの余地も残しているあたりが、内部でも揺れているのだろうか、まだ分からないので、今まさに行動するときである。個人でもできることがたくさんあるので、賛同くださる方がおられれば、ぜひご協力を!!

詳しくは、以下のサイトでも紹介しています!

サロン吉田山
http://www5d.biglobe.ne.jp/~tosikenn
民族学校を考える
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mingakko


◆今すぐできるアクション一覧◆

1.ライブドアリサーチであなたの意見を反映させよう!
「高校無償化から朝鮮学校をはずすべき?」
ライブドア世論を判断するサイトがある。高校無償化の朝鮮学校除外に賛成か反対か、私たちの声を反映させることができます!ぜひワンクリックを!
http://research.news.livedoor.com/r/40856



2.中井洽事務所 に抗議の声を届けよう!
 東京都千代田区永田町2-2-1 衆議院第一議員会館533号室
 TEL:03-3508-7263 FAX:03-3592-9044
 意見提出サイトhttps://ssl.nakai-hiroshi.net/contact



3.首相官邸文科省に抗議の声を届けよう!
首相官邸 ご意見募集
http://www.kantei.go.jp/jp/iken.html

文部科学省に関するメールでの御意見・お問い合わせ窓口案内
http://www.mext.go.jp/mail/
↑このページの下の方に、「高等学校の実質無償化に関すること」という項目がありますのでここから。
文部科学省ホームページトップのご意見伺います をクリックし
高等学校の実質無償化に関すること をクリック
首相官邸ホームページトップ をクリック


※(追加)携帯サイトからもできます!
 http://www.kantei.go.jp



4.地方の国会議員に抗議の声を届けよう!
<滋賀の国会議員室 FAX 番号>
川端達夫  03−3502−5813
田島一成  03−3508−3898
三日月大造 03−3508―3899
奥村展三  03−3508−3945
林久美子  03−5512−2639
徳永久志  03−5512−2619


<京都の国会議員室 FAX 番号>
平 智之  03−3508−8814
前原誠司  03−3592−6696
泉 健太  03−3508−3805
北神圭朗  03−3508−3268
谷垣禎一  03−3597−0895
山井和則  03−3508−8882
小原 舞  03−3508−3804
豊田潤太郎 03−3508−3818
伊吹文明  03−3502−5382
池坊保子  03−3508−3870
竹内 譲  03−3508−3353
穀田恵二  03−3508−3918
福山哲郎  03−5512−2614
二之湯智  03−5512−2632
松井孝二  03−5512−2613
西田昌司  03−3502−2897
井上哲二  03−5512−2710

※他地域は、自分で調べてね!


(※追加)
5.「高校無償化」制度の朝鮮学校( 高級部)への適用を求める要請書 」賛同よびかけ

***以下、転載***

高校無償化の朝鮮高校排除の動きに対し、以下の要請書を政府に提出するよう運動が行われています。
ぜひ賛同してください。
賛同は、個人でも団体でもかまいません。賛同の方は、3月3日
午前7時までに、
koshida@jca.apc.org
あるいは、FAX: 011-596-3683
まで返信してください。
また、知り合いの方にも知らせてください。



「高校無償化」制度の朝鮮学校( 高級部)への適用を求める要請書

2010年3月3日

内閣総理大臣 鳩山由紀夫

文部科学大臣 川端達夫



鳩山首相が、衆議院で審議されている高校無償化法案に関連して、在日朝鮮人の通う朝鮮学校を無償化の対象から外す方向で調整していることを明らかにし、その理由を「朝鮮学校がどういうことを教えているのか指導内容が必ずしも見えない」と述べたという記事(北海道新聞、2010年2月26日)を、私たちは読みました。

私たち、教育問題や国際協力、差別問題などに関心をもつ市民は、この発言に驚いています。私たちは鳩山首相に対して朝鮮学校も高校無償化の対象に含めるよう再考することを強く求めます。また川端文科相に対して、朝鮮学校を対象にしていた方針を変更することなく進めることを要請します。

朝鮮学校だけを、無償化の対象から外すことに合理的な根拠はありません。朝鮮学校は、各都道府県が各種学校として認定し、公立・私立大学の半数以上が独自の判断で受験資格を認めてきた学校です。国立大学で初めて受験資格を認めた京都大学は、朝鮮学校の授業や教科書を検討し「高校」と差がないことを確認しています(朝日新聞、2002年9月13日)。

この事実をみれば、朝鮮学校が「日本の高校に類する教育課程」をもつ学校を対象とするという文部省の方針に合致していることは明らかです。また「教育の機会均等」や「教育の国際化」という文部科学省の方針からしても、朝鮮学校だけを排除することはできないはずです。

朝鮮学校を学校教育基本法第1条の学校として認可しないというこれまでの文部科学省の方針に対しては、日本政府が批准(または加入)している国際人権諸条約の委員会から、これを民族差別とする「懸念と勧告」が何度も出されています。とくに社会権規約委員会は「朝鮮学校のようなマイノリティの学校がたとえ国の教育カリキュラムを遵守している場合でも正式に認可されておらず、したがって中央政府補助金を受け取ることも、大学入学試験の受験資格を与えることもできない事について、懸念する」(2001年8月31日)と強い勧告を出しています。

もし、高校無償化から朝鮮学校をはずすことになれば、これまでの差別をさらに広げることにつながります。それは「友愛」を掲げる鳩山政権の本意に反することではないでしょうか。

私たちは、朝鮮学校を高校無償化から除外しないことを求めます。


呼びかけ人 林 炳澤、黒田秀之、越田清和、小林久公、高橋 一、高橋芳恵、七尾寿子、花崎皋平、秀嶋ゆかり、細谷洋子、堀口 晃、三澤恵子、宮内泰介、山口たか



6.各新聞社への世論喚起
朝日新聞社
〒104−8661 京橋郵便局私書箱300号、朝日新聞社「声」係
<FAX>0570‐013579
<e-mail>tokyo-koe@asahi.com


・読売新聞
〒103-8601 郵便(株)日本橋支店留、読売新聞東京本社「気流係」
<FAX>03-3217-8229
<e-mail>tousho@yomiuri.com


毎日新聞
ネットフォームからの投稿になります。
https://form.mainichi.co.jp/annuncio/hiroba/


東京新聞
ネットフォームからの投稿になります。
https://cgi2.chunichi.co.jp/tko/hatsugen/form.shtml


※すっごく急いで書いたので、散文で読みにくいことをご容赦ください。。

*1:

拉致対論

拉致対論